株式会社丸山酒造場
明治30年(1897年)創業
新潟県上越市

「雪中梅」の酒質を表現するときに、「淡麗旨口」という文句が使われます。これはかつて一世を風靡した「淡麗辛口」を踏まえたもので、きれいな甘口タイプの酒を形容する表現として定着したように思われます。
新潟には凡そ90場の清酒製造場があり、それぞれ独自の製法や味を誇っています。ただしそれでも多少、地域ごとの特色は在るようです。新潟県下で行われる市販酒研究会の分析値を見ると、県内で上越地方の清酒はやや甘口の部類に入ります。基本的に地酒の消費地は酒蔵の地元ですので、これは、上越地域では県内平均よりもやや甘口の酒が飲まれているという事実を示すものと思います。
現在の「雪中梅」の味の方針を定めたのは、戦後に蔵を復活させた丸山三郎治(丸山氏10世,4代目)であったと言われています。昔、清酒1升は大工の日当よりも高値であったと言います。三郎治は酒の飲み過ぎでお客様の家計が苦しくなるようではいけないと考えたようです。また、蔵の所在地は農村地帯であり周囲には農作業をする人々が多くいました。身体を使って仕事を終えた後、一日の疲れを癒すには甘口のほうが旨いだろう、それも飲み過ぎてはためにならない、2合ほど晩酌して満足できるような味が良いだろうということで、「雪中梅」の味が決まったといいます。
爾来、その精神を受け継ぎ、丁寧な酒造りを心懸けて参りました。里山に育まれた井戸水はドイツ硬度1前後(アメリカ硬度15-20mg/l)。「雪中梅」のやわらかな酒質はこの水の賜物です。
歴史の浅い酒蔵ではありますが、自然環境を守り、技術を磨き、情熱と真心をこめて、酒を醸しております。その酒が飲み手の皆様のお疲れを癒し、明日への希望を賦活するに足るものでありますれば、蔵元として幸いこれにすぐるものはございません。これからも、お客様に喜んでいただけるよう、精進を続けてまいります。